Q105 解雇手続
後に紛争にならないようにするためには、適正な解雇手続を踏むことも相当重要です。適切なプロセスを踏んでいないということだけで、「労働法を理解していない」、「遵法意識がない」という心象を強く抱かせてしまうのも事実です。
解雇は、使用者の一方的な意思によって労働契約を終了させる行為ですから、被解雇者に対する解雇通知によって解雇自体は「いつでも」実行することができます。
もっとも、解雇しようとする場合には少なくとも30日前にその予告を行わなければなりません(労働基準法第21条1項)。30日前に予告をしない場合には、30日以上の平均賃金を支払わなければならないとされています。
「解雇予告手当を払っているから有効な解雇である」というフレーズによく接しますが、解雇予告手当の支払いの有無と解雇の有効無効には根本的に無関係ですので、注意が必要です。
なお、解雇の意思表示は、法律上は文書によるものでも口頭によるものでも構わないとされていますが、通知の有無やその時期が争われたときのことを考え、文書によって通知しておくのがよいでしょう。郵送で行う場合は、到達の有無が争われたときのことを考えれば、配達証明付郵便にて行うのがより望ましいです。